やわらかな等高線の上に、6か月分のカレンダーの帯と、作成・同意・交付・モニタリングの4つの印が並ぶ抽象イラスト

Column / AI業務効率化

個別支援計画の未作成減算を防ぐ
期限管理とAI下書きの、現場で続く運用

公開日: 2026-09-03 テーマ: 個別支援計画 / 未作成減算 / サービス管理責任者 / 生成AI 読了: 約8分

「あの方の計画、期限いつだったっけ」。月末の締めの前に、そう思って台帳を開き直したことがある方は多いと思います。 個別支援計画は、作った日から時間が経つほど目に入らなくなる書類です。 日々の支援と記録に手一杯のまま、気づいたら6か月が過ぎていた。減算の通知で知った。 そういう話を、就労継続支援B型や生活介護のサービス管理責任者の方からうかがうことがあります。

この記事では、未作成減算の要件を先に確認したうえで、期限を見える場所に置く運用と、 日々の記録を「事実」から集めておいて計画の見直しを軽くする順番、そして AIに下書きを任せてよい範囲と、人が持ち続ける範囲を整理します。 特定のソフトを前提にしません。いまお使いの様式のままで進められる形にしています。

Quick answer

未作成減算は「計画があるか」ではなく「4つの記録と期限が揃っているか」で決まります。

  • 減算率は1〜2か月目が基本報酬の30%、3か月目以降が50%(令和6年度改定)。解消されるまで続きます。
  • 対象になるのは、計画の作成・利用者の同意・交付・モニタリングのどれかが欠けた状態です。
  • 防ぐ運用は、次のモニタリング予定日を利用者ごとに一覧にして、毎週同じ日に見ることです。
  • AIに渡せるのは、記録から事実を集めて原案の材料を整える工程と、文章を整える工程。目標の判断・説明・同意は人に残ります。

減算の通知で初めて知る、という順番になりがちですよね

個別支援計画は、利用者ごとに作成日も見直し日も違います。20人いれば20通りの期限があって、しかもそれぞれが半年に一度しか来ません。 半年に一度しか来ないものは、日々の業務の中で優先順位が上がりません。 これは注意力の問題ではなく、期限が「見える場所」に置かれていないという置き場所の問題なんです。

そして未作成減算は、計画の紙が無い場合だけに起きるのではありません。ここが見落とされやすいところです。

「未作成」の中身は、4つの記録です

運営基準では、個別支援計画について次の流れが求められています。 利用者の状況をアセスメントし、原案を作り、担当者会議などで検討し、 利用者やご家族に説明して文書で同意を得て、計画を交付し、定期的にモニタリングを行って必要に応じて見直す。

未作成減算の対象として扱われるのは、この流れのどこかが記録として残っていない状態です。

欠けやすい記録現場で起きていること残しておく形
作成(原案・会議)前回の計画をそのまま延長していて、原案を作った記録がない原案の日付と、検討した会議の日付・出席者
同意口頭では説明したが、署名や同意日の記録がない同意日と同意者(本人・家族)の記録
交付控えを渡したつもりで、交付日が残っていない交付日と交付方法(手渡し・郵送)
モニタリング面談はしたが、記録の日付が期限を過ぎているモニタリング実施日と、見直しの要否

実地指導で確認されるのも、この4つの日付です。計画書そのものより、 4つの日付が利用者ごとに並んでいる一覧が1枚あるかどうかで、確認にかかる時間がまったく変わります。

減算率は、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定で、減算適用1か月目・2か月目が所定単位数の100分の70、3か月目以降が100分の50と示されています。 モニタリングの間隔はサービスの種類によって異なる場合があります。減算の要件・率・適用の始まりは改定で変わるため、 最新の内容は厚生労働省の公表資料と所管の窓口でご確認ください。

防ぐ運用は、期限を「毎週同じ日に見る場所」へ置くことです

対策として研修や注意喚起を選ぶと、忙しい週に真っ先に薄れます。 続くのは、見ないと業務が進まない場所に期限が置かれている状態のほうです。 やることは3つだけです。

  1. 利用者ごとに「次のモニタリング予定日」を1列にする。作成日から6か月後を計算するのではなく、予定日そのものを書きます。表計算ソフトでも紙の台帳でも構いません。
  2. 4つの日付(原案・同意・交付・モニタリング)を横に並べる。空欄がある行が、そのまま「いま手を打つ人」になります。
  3. 毎週決まった曜日に、その一覧を開く時間を予定に入れる。10分で足ります。予定日が30日以内の行に印をつけ、担当者と面談日をその場で決めます。

この一覧を作ると、減算を防げるだけでなく、モニタリングの週が「駆け込み」ではなくなります。 30日前に分かっていれば、日々の記録を集め直す時間が取れるからです。

利用者ごとに、原案・同意・交付・モニタリングの4つの日付と次のモニタリング予定日を1行に並べた一覧の図解。空欄の行に印がつき、毎週決まった曜日に開く運用を示している。
4つの日付と次の予定日を1行に。空欄の行が、そのまま今週やることになります。

見直しが重いのは、書く速さではなく「集め直す時間」のせいなんです

モニタリングと計画の見直しに時間がかかる理由を、書く速さの問題だと思っている方は多いのですが、 実際に時間を取っているのは、半年分の支援記録を読み返して、事実を集め直す工程のほうです。 記録に「その日どう思ったか」が混ざっていると、読み返すときに事実を選り分けなければならず、ここで時間が溶けます。

日々の支援記録を、一行目に事実(何をした・何が起きた・回数や時間)、二行目に解釈(そこから考えたこと・次の関わり)と分けて書いておくと、 見直しのときは一行目だけを拾えば足ります。 この分け方は支援記録の書き方・記入例で詳しく扱っていますが、 要点はあとで読む人のために、事実を先に置くという一点です。

AIに渡せるのは「集める」と「整える」、残るのは「決める」と「伝える」

ここまでの運用が整うと、生成AIを使える場所がはっきりします。 個別支援計画はサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者が作る文書で、その責任はAIを使っても変わりません。 変わるのは、作るまでの工程のうち、どこを渡せるかです。

渡せる:集める・整える

  • 半年分の支援記録の「事実」欄から、出席状況・作業内容・できるようになったこと・支援が必要だった場面を項目ごとに拾い出す
  • 前回の計画の目標と、拾い出した事実を並べて、達成の材料と未達の材料を分けて表にする
  • 決まった目標を、利用者やご家族に伝わる言葉へ言い換える
  • 様式の記載漏れ(日付・署名欄・必須項目)を点検する

残る:決める・伝える

  • 目標の達成度をどう評価するか、次の目標を何にするかの判断
  • 支援方針を変えるかどうかの判断と、その理由
  • 利用者・ご家族への説明と、同意を得る場面
  • 担当者会議での検討と、関係機関との調整

渡す側についてだけ、入力してよい情報と、出力を確認する人を先に決めます。 氏名・生年月日・受給者証番号・診断名は入力せず、記録IDと事実だけを渡す。 出てきた文章は下書きとして扱い、正式な文書にする前に必ず職員が元の記録と照らして確認する。 このあたりの考え方は福祉現場でAIを使うときの個人情報とリスクにまとめています。

こうして切り分けると、AIが担うのは「半年分を読み返して集め直す」という、いちばん時間を取っていて、いちばん判断の要らない工程になります。 減らすのは判断ではなく、判断の前の作業です。

今週から始めるなら、この順番です

  1. 利用者一覧に「次のモニタリング予定日」の列を足す。今日の午後で終わります。
  2. 4つの日付の列を足して、空欄を埋める。埋まらない行は、記録が無いということです。そこが最初に手を打つ利用者です。
  3. 毎週の予定に「一覧を開く10分」を入れる。曜日は固定します。
  4. 支援記録を、事実の行と解釈の行に分ける様式へ変える。新しい記録から始めれば十分で、過去分は直しません。
  5. 次のモニタリングが近い1人で、AIに事実の拾い出しを試す。渡す情報と確認する人を決めてから始めます。

1つの様式・30日間で、作成時間がどれだけ変わるかを一緒に測れます。
YORIAIのAI業務効率化支援では、 期限一覧の作り方から、記録様式の分け方、AIに渡す範囲と確認ルールまで、事業所に残る形で整えています。 いまお使いの記録ソフトはそのままで進められます。先着3事業所の30日導入実証は定員に達しましたが、書類1種類からの導入支援(¥50,000〜)は引き続きお受けしています。

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減算は、点数の話に見えて、その利用者さんひとりぶんの報酬が半分になる話です。 そして防ぐ方法は、注意深くなることではなく、期限が目に入る場所を用意しておくことでした。 人を変えずに、置き場所を変える。半年に一度しか来ないものほど、その順番が効いてきます。

よくある質問

個別支援計画の未作成減算は、どのくらい減りますか?
令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定で、未作成減算は減算適用の1か月目と2か月目が所定単位数の100分の70(30%減算)、3か月目以降が100分の50(50%減算)になりました。対象は、その利用者に対する基本報酬です。減算は状態が解消されるまで続きます。減算率や要件は改定で変わるため、最新の内容は厚生労働省の公表資料と所管の窓口でご確認ください。
計画は作ってあるのに「未作成」になることはありますか?
あります。運営基準では、アセスメントをもとに原案を作り、担当者会議などで検討し、利用者や家族へ説明して文書で同意を得て、計画を交付し、定期的にモニタリングを行うことが求められています。このうち、同意の記録がない、交付した記録がない、モニタリングが期限内に行われていない、といった状態も未作成減算の対象として扱われます。計画の紙があるかどうかではなく、4つの記録が残っているかで判断されます。
個別支援計画の見直しは、何か月ごとに必要ですか?
多くの障害福祉サービスで、少なくとも6か月に1回以上のモニタリングと、必要に応じた計画の見直しが求められています。サービスの種類によって間隔が異なる場合があるため、自事業所の指定を受けているサービスの運営基準でご確認ください。実務では、6か月を待たずに利用者の状況が変わったときにも見直します。期限の管理は「作成日から6か月後」ではなく「次のモニタリング予定日」を基準に置くと、抜けにくくなります。
個別支援計画の下書きをAIに任せても、減算や実地指導で問題になりませんか?
個別支援計画はサービス管理責任者や児童発達支援管理責任者が作成する文書で、その責任はAIを使っても変わりません。運営基準が求めているのは、アセスメント・原案・会議・同意・交付・モニタリングの手順と記録です。AIに任せられるのは、日々の支援記録から事実を集めて原案の材料を整える部分や、決まった目標を利用者に伝わる言葉へ整える部分です。目標の設定や支援方針の判断、利用者への説明と同意は人が行い、AIの出力は下書きとして必ず職員が確認してから正式な文書にします。氏名や受給者証番号などの個人情報は入力しない運用を先に決めます。

参照した一次情報

  • 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」(個別支援計画未作成減算の見直し)
  • 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A」
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)個別支援計画の作成等に関する規定
  • 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)個別支援計画の作成・モニタリングに関する規定

この記事は2026年9月3日時点の公開情報にもとづく整理です。制度の要件を保証するものではなく、個別の可否や減算の適用を判断するものでもありません。減算の要件・率・モニタリングの間隔はサービスの種類と改定によって異なります。最新の内容は厚生労働省の公式資料でご確認のうえ、所管の窓口や専門家の確認とあわせてご利用ください。