Column / 記録・請求の実務
サービス提供実績記録票の書き方
支援記録・請求とずれない運用と、月末に慌てない残し方
月末になると、サービス提供実績記録票と支援記録と請求の3つが合わない。 誰かが出席簿を見ながら実績票を書き直し、請求ソフトの数字と照らして、また直す。 そうやって月末の数日が消えていく事業所は、少なくないと思います。
この記事では、実績記録票に何を書くかを確認したうえで、3つの書類がずれる典型的な場面、訂正の残し方、 月末ではなく週に一度ずれを見つける運用、そしてAIに渡せる工程と人が持ち続ける工程を整理します。 様式の細部は自治体やサービスの種類で異なるので、手元の様式に置き換えて読んでいただけたらと思います。
Quick answer
実績記録票は「提供した事実」を利用者確認つきで残す書類です。支援記録・請求と、日付と回数が一致していれば足ります。
- 実績記録票=提供した事実(提供日・時間・内容・送迎など)と、利用者または家族の確認。
- 支援記録=その日に何をしたか、どう受け取ったか。
- 請求=提供の事実を単位数に置き換えたもの。
- 3つは同じ事実の別の姿です。提供日・回数・時間の3点が揃っていれば、運営指導でも請求でも困りません。
- ずれは月末に直すのではなく、週1回10分で見つけます。
3つの書類が別々に育つと、月末に合わなくなりますよね
ずれの原因は、書き方の間違いよりも、3つの書類を別々の人が別々のタイミングで書いていることにあります。 支援記録は担当職員がその日に書き、実績記録票は事務が週末にまとめ、請求は月初にソフトへ入力する。 同じ事実を3回書いているのに、書く人と書く時期が違うので、途中で情報が変わってしまうんです。
だから、書き方を揃える前に、元になる事実を1か所に置くことが先になります。それが、その日のうちに記入する実績記録票です。
実績記録票に書くのは、この項目です
様式は自治体とサービスの種類で異なりますが、共通して残す項目はだいたい次のとおりです。
| 項目 | 書くこと | ずれやすい点 |
|---|---|---|
| 提供日 | 実際にサービスを提供した日 | 欠席時対応をした日の扱い |
| 開始・終了時刻 | 実際の時刻 | 時間の丸め方が職員によって違う |
| サービス内容・提供形態 | 様式の区分に沿って記入 | 短時間利用や体験利用の区分 |
| 送迎・食事など加算に関わる欄 | 実施した事実だけ | 送迎の片道、家族送迎との混同 |
| 利用者確認欄 | 利用者または家族の確認(署名・押印・確認日) | 月末にまとめて確認し、日付が提供日とずれる |
| 備考 | 特記事項(欠席の理由、時間変更の理由) | 理由が支援記録にしか書かれていない |
大切なのは、この表を埋めることではなく、提供の事実がその日のうちに1か所に残ることです。支援記録も請求も、ここから写せば合います。
ずれが起きる場面は、決まっています
- 欠席時対応。欠席の連絡を受けて相談援助を行った日を、支援記録には書いたが実績票には書いていない、あるいはその逆。欠席時対応の記録には、連絡を受けた日時・内容・対応者が要ります。
- 送迎の片道。行きは事業所、帰りは家族。実績票に往復と書くと請求と合わなくなります。
- 時間の丸め。10時02分開始を10時と書く職員と、10時02分と書く職員がいる。短時間利用の区分に影響します。
- 月をまたぐ訂正。前月分の誤りに気づいて実績票だけ直し、請求の訂正(過誤申立)を忘れる。
- 利用者確認の後回し。月末にまとめて確認を取るため、確認日が提供日から離れる。確認そのものは有効でも、運営指導で「その日に確認したのか」を聞かれます。
訂正は、消さずに残します
実績記録票の訂正で一般的なのは、誤りに二重線を引き、正しい内容と訂正日、訂正した人が分かる形で残す方法です。修正液や修正テープで消すと、何をどう直したかが分からなくなり、運営指導で説明できません。 電子で管理している場合も、訂正前の内容と訂正の履歴が残る設定にしておきます。
請求に影響する訂正は、実績票だけでなく請求側の手続きも要ります。自治体の請求事務の手引きに沿って、過誤の申立と再請求を行います。 実績票を直した日と、請求の訂正を行った日を、備考欄に一緒に残しておくと後で追えます。
週1回10分で、3つを突き合わせます
月末に合わせようとすると、1か月分のずれを一度に直すことになります。週に一度なら、直すのは数件です。
- 実績記録票はその日のうちに記入し、利用者確認もその日に取る。帰りの支度の流れに組み込みます。
- 週の決まった曜日に、実績票・支援記録・出席簿を並べる。見るのは提供日・回数・時間の3点だけです。
- ずれた行に印をつけ、その場で理由を備考に書く。欠席時対応、片道送迎、時間変更のどれかであることがほとんどです。
- 月初に、実績票から請求へ写す。実績票が正なら、請求は写すだけになります。
この運用は、運営指導で見られる記録のうち「提供と請求の記録」をそのまま整えることにもなります。
AIに渡せるのは「並べる」と「見つける」、残るのは「事実の確認」です
- 支援記録の事実欄から、提供日・時刻・送迎の有無を拾って実績票の材料を並べる
- 実績票・支援記録・出席簿の3つを突き合わせ、提供日と回数が食い違う行の候補を出す
- 備考欄の理由を、様式に合う短い文に整える
- 訂正履歴を一覧にして、請求の訂正が済んでいない行を抽出する
一方で、提供の事実そのものの確認、利用者や家族の確認欄、請求の最終判断は人が行います。 氏名・生年月日・受給者証番号は入力せず、記録IDと事実だけを渡す。出力は下書きとして、正式な記録にする前に職員が確認する。 支援記録の側を「事実の行」と「解釈の行」に分けておくと、拾い出しが正確になります。書き方は支援記録の書き方・記入例にあります。
今週から始めるなら、この順番です
- 実績記録票の記入と利用者確認を、その日の帰りの流れに入れる。
- 週1回の突き合わせの曜日を決める。見るのは3点だけと決めます。
- ずれの理由を備考に書く癖をつける。欠席時対応・片道送迎・時間変更の3語で足ります。
- 訂正のルール(二重線・訂正日・訂正者)を1枚に書いて、記録の置き場所に貼る。
- 次の月初に、実績票から請求へ写す時間を測る。短くなっていれば、運用が回り始めています。
記録様式の分け方から突き合わせの型まで、事業所に残る形で一緒に整えられます。
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いまお使いの記録ソフトや請求ソフトはそのままで進められます。
実績記録票は、請求のための書類に見えて、実は「その日たしかに支援があった」ことを利用者と一緒に残す書類です。 月末に合わせる作業から、週に一度ずれを見つける作業へ。それだけで、月末の数日が支援の時間に戻ってきます。
よくある質問
- サービス提供実績記録票と支援記録は、どう違いますか?
- 実績記録票は、提供日・時刻・サービス内容・送迎などの提供した事実を、利用者または家族の確認つきで残す書類で、請求の根拠になります。支援記録は、その日にどのような支援を行い、利用者の様子をどう受け取り、次にどう関わるかを残す書類です。同じ事実の別の姿なので、提供日・回数・時間は一致している必要があります。実務では、実績記録票をその日のうちに記入して事実の置き場所にし、支援記録と請求はそこから写す形にするとずれにくくなります。
- 実績記録票を間違えたときは、どう訂正すればよいですか?
- 一般的には、誤った箇所に二重線を引き、正しい内容と訂正日、訂正した人が分かる形で残します。修正液や修正テープで消すと訂正の経緯が分からなくなり、運営指導で説明できなくなります。電子管理の場合も、訂正前の内容と履歴が残る設定にしておきます。請求に影響する訂正は、実績票の修正だけでなく、自治体の請求事務の手引きに沿った過誤の申立と再請求が必要です。実績票を直した日と請求の訂正日を備考に一緒に残しておくと、後から追えます。
- 利用者の確認は、月末にまとめて取ってもよいですか?
- 様式上は確認欄が埋まっていれば足りる場合が多いものの、確認日が提供日から離れると、運営指導で「その日に提供の事実を確認したのか」を問われることがあります。実務では、帰りの支度の流れに確認を組み込み、その日のうちに取る形が最も確実です。本人の署名が難しい場合の扱い(家族の確認、代筆の記録など)は自治体の案内で異なるため、所管の窓口でご確認ください。
- 実績記録票の作成や突き合わせにAIを使えますか?
- 支援記録の事実欄から提供日・時刻・送迎の有無を拾って実績票の材料を並べる、実績票・支援記録・出席簿の3つを突き合わせて提供日や回数が食い違う行の候補を出す、備考欄の理由を様式に合う短い文に整える、訂正履歴から請求の訂正が済んでいない行を抽出する、といった工程には使えます。提供の事実そのものの確認、利用者や家族の確認欄、請求の最終判断は人が行います。氏名や受給者証番号などの個人情報は入力せず、記録IDと事実だけを渡し、出力は下書きとして職員が確認してから使います。
参照した一次情報
- 厚生労働省「障害福祉サービス等の請求に関するサービス提供実績記録票の様式・記載要領」
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)記録の整備に関する規定
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)
- 各都道府県・市の障害福祉サービス請求事務の手引き(過誤申立・再請求の手続きは自治体で異なります)
この記事は2026年9月3日時点の公開情報にもとづく整理です。実績記録票の様式・記載要領・訂正や過誤申立の手続きは自治体とサービスの種類によって異なり、制度の要件や請求の可否を保証するものではありません。最新の内容は厚生労働省の公式資料と所管の窓口でご確認のうえ、事業所の規程や専門家の確認とあわせてご利用ください。