Quick answer
児童発達支援のAI導入は、個別性を守るために「事実の行」だけを渡すことから始めます。
- 渡すのは、支援記録の事実の行(活動・回数・時刻)と、様式の項目名。解釈と次の支援は、その子を見ていた職員が書きます。
- 順番は、連絡帳 → 支援記録 → モニタリング → 個別支援計画 → 支援プログラム(公表物は下書きまで)。
- アセスメントの解釈と目標の設定は人に残します。ここをAIに渡すと、一般的な文例が個別性を上書きします。
- 氏名・生年月日・診断名・家族の情報は入力せず、記録IDと事実だけを渡します。
児発で大切なのは、小さな変化を残すこと
児童発達支援では、言葉、感覚、遊び、関わり方の小さな変化が支援の手がかりになります。AIで文章を整えるときも、その小さな変化を丸めてしまわないことが大切です。
「できた/できない」だけではなく、どんな場面で、どんな支援があり、どんな反応があったかを材料にします。
家庭への伝え方をAIで整える
児発の連絡帳や説明では、家庭が安心して読める言葉にすることが重要です。AIは専門用語をやわらかく言い換えたり、支援意図を短く添えたりする用途に向いています。
ただし、家庭への助言が強すぎる表現になっていないか、不安を煽っていないかは人が確認します。
個別支援計画書は、記録の積み上げから作る
AIに計画書を下書きさせる前に、日々の記録から本人の傾向を整理します。よく出る支援、本人が安心しやすい環境、避けたほうがよい刺激などを、記録から拾える形にします。
そのうえでAIに下書きを作らせると、抽象的な目標ではなく、現場に戻せる計画になりやすくなります。
現場で始めるときの順番
- 本人の小さな変化を、場面と支援込みで残す
- 家庭向けの表現はAIでやわらかく整える
- 記録から傾向を拾い、計画書の材料にする
- 専門職が本人像と支援方針を確認してから使う
個別性が消える場面は、決まっています
AIの下書きで個別性が消えるのは、道具のせいではなく、渡した材料に「その子の事実」が足りないときです。次の3つの場面で起きます。
- アセスメントの解釈を渡したとき。「感覚に敏感」と渡すと、一般的な文例が返ります。「音の大きい場面で耳を塞ぐことが週に3回あった」と渡すと、その子の記録になります
- 目標の設定を任せたとき。目標は、家族の願いと職員の見立てから決まるものです。AIは目標らしい文章を作れますが、その子の願いは知りません
- 支援プログラムをそのまま公表したとき。公表を伴う文書は、実際の活動との突き合わせが要ります。下書きまでにとどめます
線引きの考え方は療育の現場で、AIに任せていい仕事・任せてはいけない仕事にまとめています。
書類ごとの、渡せる工程と残る工程
| 書類 | AIに渡せる工程 | 人に残る工程 |
|---|---|---|
| 連絡帳 | 事実の整文、保護者向けの言い換え | 様子の受け取り方、個別のお願い |
| 支援記録 | 事実の行の整文、月次の一覧化 | 解釈、次の支援 |
| モニタリング記録 | 半年分の事実の拾い出し、達成・未達の材料表 | 達成度の評価、見直しの判断 |
| 個別支援計画 | 決まった目標の言い換え、記載漏れの点検 | アセスメントの解釈、目標の設定、説明と同意、交付 |
| 支援プログラム(5領域) | 下書き、構成の整理、表現の統一 | 実際の活動との突き合わせ、公表の判断 |
5領域(健康・生活/運動・感覚/認知・行動/言語・コミュニケーション/人間関係・社会性)の視点を含めた支援プログラムの作成と公表は、こども家庭庁のガイドラインで求められています。未公表の場合の減算など制度の要件は改定で変わるため、最新はこども家庭庁と所管の窓口でご確認ください。
始める前に決める3つのこと
- 入力してよい情報。記録ID、日付、事実の行だけ。氏名・生年月日・診断名・家族の情報・写真は入れない。利用するツールが入力内容を学習に使わない設定かを確認する
- AIに頼む工程。表の「渡せる工程」から1つだけ選ぶ。最初は連絡帳の事実の整文
- 確認する人と順番。書いた職員が元のメモと照らし、児童発達支援管理責任者が確認してから正式な記録にする
この3つを1枚に書いて記録の置き場所に貼ります。個人情報の置き換え方は福祉AIの個人情報ルールに一覧があります。
導入後1か月で見直す3点
- 個別性。下書きに、その子の事実(数と時刻)が入っているか。一般的な文例になっていたら、渡した事実が薄い
- 作成時間と修正回数。導入前と同じ書類・同じ担当で測る
- 確認で見つかった誤り。件数と種類を残し、指示文の制約に足す
個別支援計画の期限管理(原案・同意・交付・モニタリングの4つの日付)は、AIの導入とは別に利用者一覧で管理します。未作成減算を防ぐ運用と、どの書類から手をつけるかもあわせてご覧ください。
AIは下書きと整理の道具です。支援方針、制度判断、保護者説明、提出可否の最終判断は人が担います。YORIAIのAI業務効率化支援では、プロンプトだけでなく、入力ルール、確認表、運用手順を現場に残します。
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