福祉事業所のAI導入チェックリスト|個人情報・責任・運用ルール
福祉事業所がAI導入前に確認したい、個人情報、禁止入力、確認責任、プロンプト管理、出力チェックの基本ルールを整理します。
福祉事業所のAI導入は、便利さより先に境界線を決める
AIは書類作成、記録の要約、文章の言い換えに役立ちます。一方で、福祉事業所には利用者の生活歴、障害特性、家庭状況、学校名、医療情報など、外部に出せない情報が集まります。だから導入前に、便利な使い方より先に「何を入れないか」「誰が確認するか」「どの出力を使わないか」を決める必要があります。チェックリストは、現場を止めるためではなく、安全に使い続けるための土台です。
チェック1|個人を特定できる情報を入れない
氏名、住所、学校名、具体的な家族構成、医療機関名、写真、音声、帳票そのものの貼り付けは、原則としてAIに入れない運用にします。必要な場合は、支援上必要な抽象情報へ置き換えます。例えば「小学3年生Aさん」「集団活動の前に不安が強くなる」「口頭より視覚提示が入りやすい」のように書きます。入力前の置き換えルールを紙1枚で残すだけでも、事故の確率は下がります。
初日に作る1枚ルール
AI導入初日に作るのは、分厚い規程ではなく1枚の運用ルールです。項目は、1. 入れてはいけない情報、2. 入れてよい抽象情報、3. 使ってよい業務、4. 最終確認者、5. 迷ったときの相談先、の5つだけで始めます。
例: 連絡帳の下書きは使用可。個別支援計画書は下書きのみ使用可。加算要件や医療判断は使用不可。氏名、学校名、住所、診断名、家族の具体事情は入力不可。最終確認は当日リーダー、計画書は児発管。迷った情報は入力しない。
この1枚ルールを職員会議で読み合わせ、実際のメモを1つ使って「これは入れてよいか」を確認します。抽象論だけで終わらせず、現場のメモで練習することが事故防止につながります。
チェック2|AIが決める範囲を作らない
AIに任せてよいのは、下書き、要約、言い換え、観点の整理です。支援方針の決定、医療的判断、虐待や緊急性の判断、保護者への最終説明、行政提出文書の確定は、人が担います。プロンプトにも「判断は職員が行う」「断定せず候補として出す」と明記します。AIの出力を判断そのものとして扱わないことが、福祉現場で使い続ける条件です。
チェック3|確認責任者と修正ログを決める
誰がAI出力を確認するかが曖昧だと、問題が起きたときに振り返れません。連絡帳なら当日担当者とリーダー、個別支援計画書なら児発管または管理者など、文書ごとに確認責任者を決めます。大きな修正が入った場合は、なぜ直したかを短く残します。修正ログは監査のためだけでなく、プロンプトを現場に合わせて育てる材料にもなります。
チェック4|プロンプトを個人の持ち物にしない
AI活用が一部スタッフだけの工夫で止まると、退職や異動で消えます。使ったプロンプト、入力例、出力のチェック基準は、事業所の共有フォルダやマニュアルに残します。誰が見ても意味が分かる名前を付け、更新日と用途を書きます。これにより、AI導入が属人化せず、事業所の運用資産になります。
チェック5|月1回、使いすぎと使わなさすぎを見直す
AIは入れた瞬間に定着するものではありません。毎月、どの業務で時間が減ったか、どの出力は手戻りが多かったか、入力してはいけない情報が混ざりそうになった場面はないかを見直します。使いすぎて危険な業務は戻し、使われていないが効果の大きい業務はテンプレートを直します。導入後の見直しまで含めて、AI内製化です。
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